こんにちは、きつね(@gijutsujin) です。
今回はオーディオテクニカのおうちヘッドホン ATH-HL7BTをレビューします。
この製品は2021年11月12日発売し、「おうち時間に、もっと驚きと感動を。」をコンセプトにしたオープンエア型のBluetoothヘッドホンである。
オープンエア型のヘッドホンといえば、ゼンハイザーのHD660S2が人気だと思うが、こちらは有線のみで価格は¥88,000と超高額。とはいえ非常に評価も良く私も是非試聴してみたい一品ではある。
そんななかATH-HL7BTはBluetooth接続のできるオープンエア型ヘッドホンとしては唯一無二の存在ではないだろうか。
ATH-HL7BTは発売前に紹介記事を書かせて頂いた程、筆者も注目していたヘッドホンなのだ。
発売から1年以上経過してからにはなってしまったが、実際に購入し1か月程使用したので音質面や使い勝手などを中心にレビューをしてみた。
是非、興味のある方、購入を検討している方に是非参考にして頂きたい。
詳しい製品情報についてはこちらの記事を参考にして欲しい。
それでは、はじめます!
- 音質はフラットで聴き疲れが無い
- 軽さは神
- 唯一無二のオープンエア型Bluetoothヘッドホン
- 軽さの為に犠牲になったバッテリー容量
開封
今回はATH-HL7BTと同時にサンワサプライの2WAY回転式ヘッドホンスタンドを同時購入した。
このヘッドホンスタンドはクリップで固定するタイプで、スタンドやフックとして使う事が出来て大変便利なのでオススメ!こちらの記事も是非参照して欲しい。
外箱
外箱はこのように段ボール素地に白色インクで印刷され環境に配慮した仕様となっている。
最近の製品はこのように環境への配慮から、プラスチック素材の梱包などを減らす努力が涙ぐましい。
購入者側としても、この様なパッケージへの配慮は廃棄する時も楽なのでありがたい。
内箱
内箱には、「Brings people closer to sound」とかかれていて、この製品のコンセプトを象徴した一言。
この内箱の中に本体や付属品が入っている。
同梱物
同梱物は、
- ヘッドホン本体
- 30cm充電用USBケーブル(USB Type-A / USB Type-C)
- 2.0m コード(Φ3.5mm金メッキステレオミニプラグ / L型)
- 保証書、クイックスタートガイド、取扱注意ガイド
この製品には、キャリングケースやポーチは同梱されていないので、完全に屋内使用を前提とした付属品の設定になっている。
また、別売りアクセサリーとして、交換イヤーパッド(HP-HL7BT)、充電用USB-Cケーブルとコードがある。
ヘッドホン本体チェック
本体正面
開封後、最初に感じたのはその軽さ。重量約220gの本体は実際に持つと数字以上に軽さを感じる。
また、その軽さを実現するにあたって採用されている各部品も一般のヘッドホンとは違い、軽さを出すためにヘッドパッドやイヤーパッドがファブリックであったり、ハウジングやアーム部のプラスチックが軽量に作られている。
本体側面
ハウジングの淵は特長的な柄が入っており、ハウジング前面はオープンエアなのでパンチングメタルで覆われている。
スライダーとヒンジとの接続部の銅色の金属パーツが特徴的だ。
スライダーは節度があるようなタイプではなく無段階調整式の様になっている。
操作ボタン&USB-Cポート
左側のハウジングに操作ボタンが配置されている。ボタンは音量+、電源、音量ーになる。音量+ボタンについては”+”が突起状になっている為、指先の感覚でボタンを認識できるようになっている。
また、操作ボタンの隣には充電用のUSB-Cポートがあり、さらにその横には3.5mmジャックがあり有線ケーブルを繋ぐ。
ヒンジ部
本機のヒンジ部はこのようになっており、銅色の部分を軸に左右に動くが180度にフラットにはならない。
ヒンジ部の構成がシンプルになっている為、スライダーを操作する際につかむところが無く、若干調整しずらい点が残念。
ATH-M50xBT2の様なモニターヘッドホンには出ていない、スピーカ用のコードがヘッドバンドから出ている。
これをひっかけて断線する事もあるので、取り扱いには十分注意する必要がある。
ヘッドバンド
ヘッドバンドはファブリック素材で出来ていて非常に軽量だ。
また、クッションも十分に厚みがあるの。その為、本体の軽さも相まって頭が痛くなることは絶対にない!
人口皮革に比べ、汗や整髪料などで汚れが目立つ可能性もあるが、気になる方はヘッドバンドカバーなどを使うのも手だろう。筆者個人としては、軽さが重要なのでそのままで使用する事にしている。
イヤーパッド
イヤーパッドは本機の一番の特長的なパーツで、一般的なヘッドホンであれば合皮の様な素材なのだが本機は2種類のクッション素材でできている。
フィッティング・レイヤー:ソフトなクッション材を採用し、快適な装着感を提供します。
アコースティック・レイヤー:硬めのクッション材を採用し、耳とドライバーの間に一定の音響空間を創出。イヤパッド内の最適な音響設計により、高音質を楽しむことができます。
*引用:オーディオテクニカホームページ
装着した感じとしては、とても感触が良く表面のファブリックは特にかゆみを伴うことなく快適に装着出来る。
また、クッションの違いによる効果はホームページで説明されている通りで、アコースティックレイヤーのおかげでスピーカーと耳との間に適度な空間が出来る為、音の鳴りや響きは最高にいい。
ただ、気になる点としてはファブリック素材ゆえに汗を吸い込みやすく、汚れを吸着しやすい点だろうか。
毎日使うとなると汚れ対策は必須で、カバーをかけるか汚れが目立つようなら交換するというのも手だろう。
1か月使用レビュー
音質
テスト音源
今回の音質チェックの為に使用した音源は、Amazon Music Unlimitedにて 結束バンドのアルバム「結束バンド」の楽曲を使用し音質比較をした。
使用する音質はハイレゾ音源でもあるUltara HD音質を使用。
音源は24 bit / 48 kHz、ATH-HL7BTも同様のプロパティで聴くことが出来るようになっている。
アルバム「結束バンド」はすべての楽曲がUltara HD音質で提供されているので、音質チェック用には最適と思い採用した。
Bluetooth接続
まずはBluetoothでの音質チェックを行う。
ATH-HL7BTはBT接続時に左側のイヤーカップにあるLEDが白く点滅する仕様だ。
本機は、Bluetoothの対応コーデックとして、SBC、AAC、LDACの3種類ある。今回はその中からLDACを使用した音質チェックをしてみる。
使用機材
Bluetooth接続で使用する機材は、「FiiO BTA30 Pro」を使用する。
BTA30 ProはLDAC送信が出来るUSB-DAC。PCからはUSBで入力し、32ビット/384kHzにて受信している。
Bluetoothでの音質チェックはこちらを使用してLDACにて音質チェックをしたいと思う。
*ヘッドホンの設定はイコライザーはDisableにしている。
音質の感想
Bluetoothでの音質についてはLDACという事もあり、SBCやAACよりも多少は鮮明に感じつつも音域がタイトというかまとまった感じの音質でいて、広がり感よりもむしろそのタイトさが音の引き締まり感を感じる事が出来る。
音のバランスは非常にフラット。その為、ボーカル、ギター、ベース、ドラムの音がバランスよく聞くことが出来た。
こういったところも、長時間のリスニングをするにも丁度良い設定になっている。
ATH-HL7BTも高品位のDACを使用しているので、Bluetooth接続時の音質面は申し分ないです!ケーブルレスで軽快に使えるのがGood!
有線接続
続いて、今度は有線での音質チェックをする。
使用するケーブルは付属している2.0mの3.5mmジャックのケーブルだ。
本機は、有線使用時にハイレゾ音源対応となる。そのため、ハイレゾ音源を使用し ハイレゾ対応のヘッドホンアンプ「FiiO K3ES」を使用して音質チェックをする。
使用機材
有線接続で使用する機材は、ヘッドホンアンプ「FiiO K3ES」 だ。
このヘッドホンアンプは小型ながら32ビット/384kHzの再生が可能。もちろんハイレゾ対応となっているので、今回の有線での音質チェックをする際のヘッドホンアンプとして使用する。
*ヘッドホンの設定はイコライザーはDisableにしている。
音質の感想
有線接続での音質はとにかく音の広がりを感じる。また、このヘッドホンの特長なのかもしれないが音がとにかくフラットなので変な味付けがされておらず、モニターヘッドホンに近い感覚がある。
音の分離感も良く、オープンエアらしく鳴っている音は軽快なのだが、低音もきちんと鳴っているのでスカスカした感覚は全くない。ヘッドホンアンプでBassブーストが出来るのだが、BassブーストをONにすると若干低音が強い感じがしてこもった感じがするのだが、BassブーストをOFFにすると自然な感じになるのでこちらがオススメ。
さすがの有線での音質。動画視聴時や、じっくり音楽を聴きたい時には有線が一番いいです!
装着感
装着感はとにかく軽快で、圧迫感が全くなくとても掛ごごちが良い。
サイドから見ると、ハウジングの大きさが良くわかるだろう。耳全体を包む感じに装着する感じになる。
ヘッドホンを首に掛けるとハウジングが大きいのでアゴにあたる感じになり、あまり首に掛けるのは具合が良くない。
マルチポイント接続
マルチポイント接続もしっかりと動作している。
今回はiPhone 14とXperia 5で接続実験をした。ちなみにXperia 5はLDACで接続し、iPhone ではAACで接続されている。
Xperia 5で接続した場合の接続情報はこのようになる。
設定に HDオーディオ:LDAC とあるようにATH-HL7BTで接続するとLDACでの通信が可能になる。
マルチポイント接続の弱点というとバッテリーの持ちが1台接続時に比べ短くなってしまう点だ。これは当然2台分の通信を行っているわけで仕方がない。
充電を頻繁に行うことが嫌な場合は、使用状況に応じてマルチポイント接続をすると良いだろう。
A-T Connect
ATH-HL7BTはA-T Connectにて各種設定をする事が出来る。
ここでは、A-T Connectでの設定について解説する。
アプリはこちら
A-T Connectを起動しATH-HL7BTを接続したところ。
トップページには、バッテリー残量、接続コーデック、イコライザー設定、低遅延モード、画面下側にボリュームもある。
A-T Connectでは、ボリュームの分解能の設定をする事が出来る。
設定できる分解能は、16ステップ、32ステップ、64ステップの3種類から選ぶことが出来る。
接続コーデックでは、どのコーデックで接続するか選択する事が可能だ。
ATH-HL7BTではSBC、AAC、及びLDACの3種類から選択する形になる。
当然ながらホストの仕様によって選択できるコーデックも変わるのでご注意いただきたい。
A-T Connectではイコライザー設定もする事が出来る。
ヘッドホンの音質を調整したいときにはイコライザーを調整する事で好みの音質に変える事が出来る。
イコライザーは2種類あり、パラメトリックイコライザーとグラフィカルイコライザーがある。
調整できる周波数は、
グラフィカルイコライザー:82kHz、247kHz、1kHz、4kHz、12.5kHz の 5種類
パラメトリックイコライザー:20Hzから20kHzまでリニアに変更が可能。
また、イコライザーをOnにすると若干音量が下がるようなので、この点も注意したい。
ちなみに、A-T Connectでイコライザー設定をオンにすると、最大サンプリングレートが48kHzに制限される。
グラフィカルイコライザーのプリセット設定は全部で5種類あり、マイセッティングでオリジナル設定がつくれる。
LDACで48kHz以上のサンプリングレートの曲があった場合はデグレードされてしまう。
左右の音量のバランス調整も可能。
ATH-HL7BTは360 Reality Audioに対応している。
ここでは、360 Reality Audioを使用するにあたって、耳の形を測定したり、サービスの最適化をする事が出来る。
耳の形の測定とは、左右の耳それぞれの写真を撮って計測する。
低遅延モードは、動画やゲームをしている時に音声の遅延を低減するモードだ。
特にコンサートなどのライブ動画や音ゲーをやる方はOnにすると良い。
この設定をOnにすると、接続コーデックがAACに変更されてしまう。
基本的な設定はA-T Connectを使う事で対応は可能だ。
イコライザー設定については、音量が下がったりサンプリングレートが48kbpsに固定されてしまったりと制約がある点が残念なところ。しかしながら、本機はイコライザーを使わなくても、しっかりとした音をならしてくれるので、筆者としては全く不要な機能になっている。
また、ここで設定した内容はヘッドホンに保存されるので、スマホ以外に繋いだ場合でも設定は保持される仕様になっている。
ATH-HL7BTとATH-M50xBT2
ATH-HL7BTと対となすヘッドホン ATH-M50xBT2と比較してみた。
性能面
ATH-HL7BT | ATH-M50xBT2 | |
---|---|---|
形式 | オープンエアーダイナミック型 | 密閉ダイナミック型 |
ドライバー | Φ53mm | Φ45mm |
出力音圧レベル | 100dB/mW | 99dB/mW |
再生周波数帯域 | 5~40,000Hz | 15~28,000Hz |
インピーダンス | 48Ω | 38Ω |
通信方式 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
対応コーデック | LDAC、AAC、SBC | LDAC、AAC、SBC |
伝送帯域 | 20~20,000Hz | 20~40,000Hz(LDAC 96kHz サンプリング、990kbps時) 20~20,000Hz(44.1kHz サンプリング時) |
ハイレゾ対応 | 対応 | 非対応 |
マルチポイント接続 | 対応 | 対応 |
サイドトーン機能 | 非対応 | 対応 |
360 Reality Audio | 対応 | 非対応 |
有線対応 | 有線接続によりハイレゾ音源に対応 | 2.0mコード付属1.2mコード付属 |
使用可能時間 | 最大約20時間 | 最大約50時間 |
重量 | 約220g | 約307g |
価格 | ¥19,800(税込) | ¥23,980 (税込) |
購入はこちら | 購入はこちら |
仕様や価格などカタログスペックで比較してみた。
ドライバーサイズについてはATH-M50xBT2よりもATH-HL7BTの方が大きい。また、再生周波数帯域もハイレゾ対応という事で5~40,000Hzと広いレンジをカバーしている。
とは言え、Bluetooth接続時に置いては、伝送帯域でATH-M50xBT2の方がLDAC使用時に高音域に余裕が出るようだ。
各種性能面での差異については、ATH-HL7BTがハイレゾ対応に対して、ATH-M50xBT2はハイレゾ非対応だったり、サイドトーン機能についてはATH-M50xBT2が対応しているが、ATH-HL7BTは非対応といった具合で、それぞれの機能については差があるのだ。この事から、ATH-M50xBT2はモニターヘッドホンとして仕事にもつかえる仕様だが、ATH-HL7BTは音楽を楽しむ方に機能を振った感じになっているように思う。
重量については約80gの差がある。しかし、実際に使用してみるとこの80gが大きく違うのだ。軽さが気になるという方は是非店頭で手に取ってもらう事をオススメするぞ!
まとめ
ATH-HL7BTを購入し1か月間使用してみた感想をまとめるとこんな感じ。
- 音質はフラットで聴き疲れが無い!
- 軽さは神!
- 唯一無二のオープンエア型Bluetoothヘッドホン!
製品のコンセプトがとてもユニークで、その狙ったポイントが非常に分かりやすく、その良さを共感できるヘッドホンだと感じました!
総評
総評コメント
デザインについては、真鍮の様なヒンジパーツだったり、Φ53mmと大きなドライバーを収納するハウジングのデザインやファブリック素材を多用したりするなど、他のヘッドホンには無い素材やパーツデザインでとても好感が持て筆者はとても気に入っている。その為、評価は満点にさせて頂いた。
質感については、軽量化を謳っているだけあって高級感はさすがに無い。レザーを使ったり質感の高いプラスチック素材を使うとどうしても重量が増す方向に振れる。それを回避するために、ファブリック素材のイヤーパッドやヘッドバンドだったリするわけで、製品の目的(ターゲット)そのものが高級路線とは違うという事だ。とはいえ、安っぽさは全く無いので、この点もうまくやっているという感はある。
性能については、ハイレゾ対応だったり高性能DACを搭載するなど音を鳴らす部分いついては文句の言いようが無いのだが、唯一残念なのが連続再生時間が20時間というところだ。ATH-M50xBT2の場合、50時間の連続再生が出来るので充電する回数は本当に少ない。しかしながら、ATH-HL7BTの場合、私の使い方であれば1週間から1週間半の間隔で充電をする必要がある。軽さを求める為にバッテリー容量を減らした弊害がここに出てきているのは少し残念なポイントだ。
音質についてはレビューでも解説したが、オープンエア型とは思えない程バランスが良く低音もしっかりと鳴らしてくれる。
オープンエア型をトライしてみたいという人は是非、このヘッドホンで試してもらいたい。
また、外の音も聞こえる事は聞こえるのだが、例えばエアコンの風の吹き出し音やPCのファンの騒音程度であれば、音量にもよるが全く気にはならない。その為、NCヘッドホンの様な外音取込時の音量と同じくらいの外の音が聞えるわけではないので、そこは注意が必要だ。
価格については、ハイレゾ対応やBT対応(マルチポイント接続可能)という事で定価で2万円弱というところは他の競合製品が無い中では悪くない価格設定ではないだろうか。音質についても価格なりで良いと感じた。ただ、価格の割には全体の高級感というか質感というところがもう少しなのが少し残念なので評価を4にした。
唯一無二のオープンエア型Bluetoothヘッドホン ATH-HL7BT。軽さと高音質の両立は凄かった。
是非皆さんもお店で実際に手に取って軽さを感じ、試聴してオープンエア型ヘッドホンの軽快な音の良さを感じて頂き、気に入ったら購入する事をオススメします!
ATH-HL7BTをAmazonでご購入される場合は、「オーディオ・ヘッドホン 5年 長期保証」を同時購入する事をオススメします!
以上になります。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
本記事に関するご感想やご質問は、下のコメント欄か問い合わせフォームよりお願いいたします。
コメント